〜道中鳴らし〜

『道中鳴らし』とは、会場を出立する時に、ちょうちんを持った人が先頭を歩き『道中太鼓』と呼ばれる旋律を敲きながら歩いて移動することです。
この時のリズム、強弱がそれぞれの団体によって違います。

『じゃんがら念仏踊り』自体も踊り、太鼓の敲き方、太鼓の振り付けなど地区によって違います。
自らの地区に伝わる『じゃんがら念仏踊り』をより独創的なものにするため、テンポを速められるだけ速めたり、また、曲に極端な強弱をつけるために独特なアレンジをしたり、さらには、太鼓の振り付けに趣向をこらし、より複雑なものに変えていったり、といったことが不断に行われてきました。

遠野、田人では笛を使います。

〜太鼓 〜

太鼓の管理は、ていねいに太鼓の胴ひもをゆるめなければいけません。
そうしないと、皮が破けたり、胴が割れたりしてしまいます。
雨の日は湿気を含んでしまい、これが乾燥するとそうなってしまうのです。

値段は、
木製の胴・・・六万円〜八万円
プラスチック製の胴・・・三万円〜四万円
太鼓の皮・・・六万円〜八万円
木製の太鼓を三つ揃えると五十万円弱の出費になります。

先端に白いウサギの毛がついた特製のバチを使うのですが、これは一対で二千円〜三千円するそうです。
バチには当たりはずれがあって、ひび割れのあるバチはすぐにだめになってしまいます。
ひとつひとつバラバラに買うと、どうしても太鼓の音色が合わなくなってしまいます。
したがって、、更新する時には、思い切って三つ揃えて買う方が望ましいそうです。

太鼓を買うだけでも余程慎重に見なければいけないようです。
太鼓の胴には「南無阿弥陀佛」を染め抜いた布が巻いてあります。
このことから『じゃんがら念仏踊り』は、浄土宗あるいは時宗の流れをくむと考えられます。

〜鉦〜

『じゃんがら念仏踊り』には一曲を通じて音の強いとこと弱いところがあります。
それをきれいに演奏するのと、そうでないのでは大きな違いがあります。
メリハリのきちんとした『じゃんがら念仏踊り』は、聞いていて情感があり、飽きることはありません。
ところが、メリハリのない、一本調子の『じゃんがら念仏踊り』は、ただうるさいだけのものになってしまいます。

鉦を敲く時の膝のあげ方や腕の振り方などについても、自分勝手な踊りをしていると、それは美しくない『じゃんがら念仏踊り』に見えるし、やりたくないものを嫌々やっているように見えてしまいます。
歌の部分を除くと、単純な前後運動とそれにともなって行われる左移動のみですが、この動きが現在では足をするようにして行われていることが多いです。

夏井 芳徳 「ぢゃんがらの夏」より